「カラダが柔らかいからストレッチは不要」は大間違い!カラダが柔らかい人が陥ってしまう“落とし穴”
柔軟性を高めるのに有効な「ストレッチ」。「私、カラダが柔らかいからストレッチしなくても大丈夫!」と思っている方、その考えは大間違いです!「カラダが柔らかい」と思い込んでいるからこそ陥ってしまう“落とし穴”があるのです。
ではその“落とし穴”とは何か?詳しくお伝えしていきましょう。
- 2020-12-16
- 町田晋一
「カラダが柔らかい人」こそ腰痛などが起こりやすい!?
それではなぜ「カラダが柔らかいからストレッチはしなくても大丈夫!」という考えは間違いと言えるのでしょうか。
その理由は、あらゆる身体動作のうちの、一部の動作で「カラダが柔らかい」と判断しているにすぎないからです。「カラダが柔らかい」と思い込んでいる人ほど、実は柔軟性の前後差や左右差が大きく、バランスを崩していることが多いのです。
例えば「カラダが床にピターっと付くぐらい大きく開脚できる」という場合、確かに内ももの筋肉である股関節内転筋群の柔軟性が高いと言えます。しかし、その拮抗筋となる外ももの筋肉である「股関節外転筋群」も柔軟性が高いかというと、そうではない場合がほとんどです。
このように柔軟性で前後差や左右差があると、骨格に歪みをもたらしてしまい、腰痛が起こりやすいだけでなく、「肉離れ」などといった運動中の思わぬケガを招いてしまう可能性があるのです。
どこでも簡単にできる「2つの柔軟性バランスチェック」
それでは、実際に前後左右の柔軟性バランスをチェックしてみましょう。ここでは、どこでもできて、誰でもできるチェックを2つ行います。
特別に用意するものはありません!広いスペースも不要です!一つだけ、「ムリをしない」ということだけ心がけるようにしましょう。
(1)前後屈チェック
上体の前屈と後屈を行います。
まずは上の写真のように、足幅を腰幅程度に開き、膝を伸ばしたまま上体を前に倒していきます。競争ではないので、ムリなく前屈できるところまで行います。
次に足幅を肩幅もしくは肩幅よりやや広めにとって、手を腰に当てて上体を後ろに倒していきます(写真上参照)。
このとき、膝が曲がらないようにしましょう。痛みや違和感がない程度に、やはりムリなく後屈できるところまで行いましょう。
前後屈、どちらがやりやすく感じましたか?
(2)側屈チェック
足を肩幅程度に広げて、腰から下の部分を動かさないように気をつけながら、上体を左右それぞれ真横に倒していきます(写真上参照)。
真横に倒していく際、上体が捻じれないように、上体を正面に向けたまま行うようにします。「腰から下の部分がどうしても動いてしまう」という場合は、イスに座りながら行うとよいでしょう。
左右どちらが倒しやすく感じましたか?
「柔軟性バランス」を整えるために行っておきたいストレッチ
2つのチェックを行ってみていかがでしたか?
「前後屈両方やりやすい」「左右両方とも倒しやすい」というのはごく稀で、おそらくどちらかが倒しにくく感じたのではないでしょうか。
このように柔軟性で前後差や左右差がある場合がほとんどで、カラダが柔らかい人ほどその事実に気づかないことが多いのです!
チェックで柔軟性バランスが崩れていることに気付いたら、そのバランスを整えていくようにしましょう。
前屈動作が行いにくかった場合
「前屈動作が行いにくかった」という場合、骨盤が後傾している可能性があります。すると腰椎も後弯が強くなり、椎間板への負担が大きくなってしまいます。
骨盤を後傾させている筋肉として、お尻の筋肉である「大殿筋」と、太もも裏側の筋肉である「ハムストリングス」の強い緊張が考えられます。
そこで前屈動作が行いにくかった場合は、大殿筋とハムストリングスの強い緊張を緩めるために静的ストレッチを行います。
大殿筋への静的ストレッチ
- 仰向けになって脚で「4の字」を作り、下になっている脚の膝を立てます。
- その膝裏に両手を回し、脚を胸に引き付けることで大殿筋がストレッチされます。
ハムストリングスへの静的ストレッチ
- 両膝を立てて仰向けになり、片脚を上げます。
- そのふくらはぎに両手を回して股関節を曲げつつ、膝を伸ばすようにすることでハムストリングスがストレッチされます。
余裕があれば、上の写真のように立てていたもう一方の膝を伸ばしてみましょう。
ふくらはぎに両手を回しにくい場合、両手の代わりにタオルを回して引き付けても構いません。
後屈動作が行いにくかった場合
逆に「後屈動作が行いにくかった」という場合、骨盤の前傾が強くなっていることが考えられます。
骨盤の前傾が強くなると、腰痛を起こしやすくなるだけでなく、腹筋群の筋力が低下しやすい状態なので、「ポッコリお腹」になりやすくなります。
骨盤を前傾させる筋肉は、太もも付け根前面にある「腸腰筋」です。この筋肉の緊張が強くなると、骨盤の前傾が強くなってしまうので、腸腰筋の過度な緊張を緩める静的ストレッチを行います。
腸腰筋への静的ストレッチ
- 脚を前後に開き、前脚の膝を立てて後ろ脚は後方へ伸ばします。
- 両手を前脚の膝の上に乗せ、骨盤を後傾させることで後ろ脚の太もも付け根前面にある腸腰筋がストレッチされます。
目線をお腹に向けると骨盤が後傾しやすくなります。
右(左)への側屈動作が行いにくかった場合
側屈動作で左右差があるということは、「骨盤が側方に傾いている」ということです。右(左)への側屈動作が行いにくかった場合は、骨盤が右(左)に傾いていることが考えられます。
骨盤の左右の傾きに大きく影響を与える筋肉として、体幹を横に倒したり骨盤を引き上げる働きをする「体幹側筋群」と、骨盤を引き下げる作用をもつ「股関節外転筋群」が挙げられます。
そこでこれらの筋肉の緊張を緩める静的ストレッチを行うことで、左右差を整えていきます。
左(右)体幹側筋群への静的ストレッチ
- 右(左)脚を斜め前方に伸ばして、左(右)脚を折りたたんだ「片脚開脚」の状態から、左(右)腕を上げて右(左)手は反対側の脚が浮き上がらないように押さえておきます。
- 上体を斜め前方に伸ばした脚の方向に倒していくことで、左(右)側の体幹側筋群がストレッチされます。その際、ストレッチしている左(右)の体側部を左方向に突き出すようにすることがストレッチ効果を高めるコツです(写真赤矢印参照)。
右(左)股関節外転筋群への静的ストレッチ
- 立位の体勢から、右(左)脚を一歩後ろに引いてから反対側の脚とクロスさせます。
- 左(右)手を骨盤横に当てて、骨盤を右(左)方向にスライドさせることで、右(左)側の股関節外転筋群がストレッチされます(写真赤矢印参照)。
ストレッチを行う上での注意点
いずれのストレッチも左右それぞれ、筋肉が心地よく伸ばされていることが感じられる強度で、20~30秒間伸ばし続けるようにしましょう。
「柔軟性」よりも重要なのは「バランス」
今回は、「カラダが柔らかいからストレッチしなくても大丈夫!」という考えが間違いであると言える理由についてお伝えしてきました。
「カラダが柔らかい」と思い込んでいる人ほど、実は柔軟性の前後差や左右差が大きく、バランスが大きく崩れていることが多いと言えます。
ストレッチを行う際に重要なことは、柔軟性を高めることよりもバランスを整えることです。腰痛や肩こり、運動中の思わぬケガを防ぐためには、柔軟性以上にバランスが重要となるのです。
そのためストレッチを行う際は、一部に偏ったストレッチを行うのではなく、全身の筋肉を満遍なくストレッチするように心がけましょう!
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お腹痩せトレーナー。 1972年埼玉県浦和市(現さいたま市)生まれ。 東京都渋谷区・新宿区のパーソナルジムで、ぽっこりお腹に悩む女性のお腹痩せ成功をサポートしている。食事制限をしない、無理なくお腹瘦せできる独自のメソッドを提唱。 これまでぽっこりお腹に悩んでいた女性の腹囲を、2ヶ月で平均−5.6㎝のお腹痩せ成功に導く。 パーソナルトレーニング指導歴23年。