自分自身が感じる変化

まず、まぶたを軽く伏せて、皮膚に当たるハサミの感触を楽しみます。「さくっ」とハサミが髪に入っていく音、はらはらと切られた髪が落ちていく空気。途端に視界が開けてスッキリ軽やかな気分になって、世界がちょっと明るく見える。「前髪のカット」って、何かがリセットされる時間のように感じませんか？

自分で切る？美容室で切る？

美容師をしていてよく聞くことの一つで、「自分で前髪切っちゃいました」とか、「前、美容師さんに前髪切ったでしょ！って怒られた」というような“自分で前髪を切ることへのマイナスイメージ”があります。人それぞれのやり方があるので、他の美容師さんの考えはわかりません。ですが、筆者はこう思います。「切りたかったんだから、切って良いのよ！何が悪いの？」と。

髪を“切る”ことは、ハサミがあれば誰にでもできます。それは美容師だけの特権ではありません。自分で自分の髪を切ったり。親がこどもの髪を切ったり。それって、きっと自然な流れだし、「切ってみよう！」という好奇心てとても楽しい時間だと思うのです。

ただ、もちろん、美容師には専門的な技術とアイデア、そしてちょっとした魔法のようなものがあります。技術とアイデアはその道のプロですから当然です。ではさて“魔法”とは何なのか、と言うと、気持ちを「リセット」させたり、「楽しい」気分にさせたりするきっかけとなる“時間を作りあげる”ということ。それは全体のカットだけでなく、前髪カットでも同じことです。

「前髪の1㎝は、全体の10㎝？！」

さて、こんな経験はありませんか？「毛先10㎝切ったのに誰も気づかない！」
でも、こんな経験もありませんか？ちょっとしか切ってないのに「あれ？前髪切った？」と言われた！

髪が短くなればなるほど、その変化は顕著に人々の目に移ります。ロングヘアだと、少し切っただけでは意外と印象は変わりにくいもの。前髪はおでこや目、眉、その他お顔のパーツとのバランスによって、変化がとてもわかりやすくなっています。

周りへの印象を大きく変える「前髪」の力。

人の「顔」の印象というのは、髪型なしでは語れません。そのなかでも「前髪」による印象の変化は、大きな部分を担っています。ガラッと印象を変えられる部分。だからこそいつもと違うスタイルにするのはちょっと勇気がいるものです。

しかし、それと同時に、髪は1か月に約1㎝は伸びるもの。前髪にとっての1㎝は大きな変化ですから、もしも「これは違ったー！」なんてことになっても、またすぐにやり直すことができます。ただばっさり切ったら・・・もちろんすぐには元に戻りませんが。思い切っていつもと違うスタイルにしてみるのも時には楽しいものですよ。