「糖質カット」をすると太りやすくなる!? パーソナルトレーナーが「糖質カット」をお勧めしない理由
昨今、「糖質OFF」「糖質カット」という言葉をよく耳にしたり目にしたりします。
「糖質をカットすれば痩せる!」と思っている方もいらっしゃいますが、実は大きな間違いです!むしろ極端な糖質制限は、却って太りやすいカラダにしてしまうことも。
ではなぜ糖質カットをすると太りやすくなると言えるのか、糖質を摂る際に気をつけるべき点と合わせてお伝えします。
- 2020-12-11
- 町田晋一
「糖質」と「炭水化物」の違い
まずは「糖質」と「炭水化物」の違いについて触れておきましょう。
糖質と炭水化物を同意語として解釈されているケースがよくみられますが、厳密には〈糖質=炭水化物〉ではありません!糖質は炭水化物というグループのうちの一つなのです。
炭水化物には糖質のほかに、消化酵素で分解できない「食物繊維」があります。そのため「炭水化物」と言うと、糖質だけでなく食物繊維も含まれていることになるのです。
「糖質」とは何か?
それでは「糖質とは何か」について具体的にお伝えしておきたいと思います。
糖質は、カラダを動かすエネルギー源としての働きを持ち、自動車で言うところの「ガソリン」にあたります。また、カラダだけでなく脳や神経を働かせる際のエネルギーにもなります。
糖質には3つの種類があります。1つの糖から成りエネルギー源となる「単糖類」と、2つの糖から成る「二糖類」、そして多くの糖から成る「多糖類」の3つです。
ブドウ糖や果糖などが単糖類にあたり、しょ糖や麦芽糖などが二糖類にあたります。多糖類にあたるものとしては、穀物類が挙げられます。砂糖がたくさん使われている甘い物などが単糖類と二糖類を含む食べ物で、ご飯や麺類などが多糖類を含む食べ物とご理解していただけたらわかりやすいかと思います。
単糖類と二糖類は、吸収速度が素早いため血糖値が急激に上昇します。運動中や運動後であれば、吸収された糖はエネルギーとして即座に使われるようになります。
しかし、糖が使われず血液中の糖質濃度が高くなってくると、血糖値を下げようと「インスリン」が分泌されるようになります。インスリンには血糖値を下げる他、脂肪合成を促す働きがあります。そのためカラダを動かさないのに単糖類と二糖類を摂り続けていると、脂肪が蓄積されるようになってしまうのです。
「甘いモノを食べると太る」と言われている理由は、ここから来ていると言えます。
ボディメイクにおいて「糖質は不可欠」と言える3つの理由
冒頭でも触れましたが、「糖質OFF」や「糖質カット」という言葉をよく耳にするようになり、〈糖質=太る〉と解釈される人が多くなってきました。
しかし、ボディメイクにおいて糖質は不可欠と言えます!その理由として3つ挙げることができます。
理由1:カラダを動かすエネルギーとなるから
前述したように、糖質はカラダを動かすエネルギーとなります。糖質をカットして糖質が入って来ない状態でカラダを動かすとどうなるか。“ガス欠”状態に陥ってしまうため、カラダが十分に動かせなくなります。
カラダが十分に動かせなければ、エクササイズ効果も不十分なものとなってしまうと言えます。十分な効果が得られないばかりか、思わぬケガを負ってしまう危険性も考えられます。
理由2:効率良く筋肉を作ることができるから
筋肉量を増やすには、筋トレと合わせてタンパク質の摂取が必要となります。しかし、それだけではまだ不十分です!
筋トレ後はエネルギーが枯渇した状態でもあります。そのためタンパク質だけを摂っても、それは筋肉作りの材料としてではなく、枯渇したエネルギーを補う目的で使われてしまうことになるのです。そこでタンパク質が筋肉作りの材料として使われるように、筋トレ後はタンパク質と合わせて糖質の摂取も必要となるのです。
このタイミングではカラダがエネルギーを欲しがっているので、吸収速度が素早く即座にエネルギーに変換できる「単糖類」や「二糖類」から摂るようにします。糖質含有量の高いプロテインやハチミツ入りのプロテインは、タンパク質と糖質が同時に摂れるのでお勧めと言えます。
理由3:筋肉量減少を防ぐことができるから
また、運動をしていない場面でも、糖質が入って来ない状況でお仕事をしたり家事をしたりすると、エネルギーが入って来ないので、カラダは筋肉を分解してまでエネルギーを作り出そうとしてしまうことになります。
そのため糖質をカットしてしまうと、どんどん筋肉量が減ってしまうため、基礎代謝低下を招き、却って太りやすいカラダになってしまうと言えます。
そこで筋肉量減少を防ぐために、糖質の摂取が必要となるのです。カラダを活動させる朝や昼は、しっかりとご飯や麺類などといった多糖類から糖質を摂るようにするとよいでしょう。
糖質を摂る際に気をつけておくべき2つの点
糖質はボディメイクをする上で不可欠なものだからといって、むやみやたらに摂ればいいというものではありません!いくらボディメイクをする上で欠かせないと言っても、間違った摂り方をしてしまうと、ボディメイク効果をダウンさせてしまうことになります。
多くの人が糖質を「太るモノ」と解釈していますが、問題は糖質そのものではなく「糖質の間違った摂り方」にあるのです。
ボディメイク効果をダウンさせないようにするために、糖質を摂る際気をつけておくべき点として2つ挙げられます。
1. 血糖値の上がりやすい単糖類や二糖類の摂取はなるべく控えること
単糖類や二糖類は血糖値が急激に上昇し、エネルギーとして使われないと脂肪に変わってしまいます。そのため体脂肪を増やしたくない方は、摂取を控えるとよいでしょう。
単糖類や二糖類を含む食べ物として、「砂糖が多く含まれた食べ物や飲み物」などが挙げられます。
2. 身体活動の少ない夜間の糖質の摂取は避けること
夜食にご飯やパスタなど麺類を食べてしまうと、夜は身体活動量が少ないので、エネルギーとして使われることなく、中性脂肪として脂肪細胞に蓄えられてしまうことになります。
そのため体脂肪を増やさないようにするには、夜間の糖質の摂取は避ける必要があると言えます。
「糖質カット」よりも「糖質のコントロール」が大事!
今回は糖質をカットすると太りやすくなる理由と、糖質を摂る際に気をつけるべき点などについてお伝えしてきました。
ボディメイク効果を後押しするためには、「糖質カット」や「糖質OFF」よりも、「糖質をどのタイミングで、どのように摂るべきか」という糖質のコントロールが重要であると私は考えます。
ダイエットのご参考になれば幸いです!
この記事を読んだ人におすすめ
お腹痩せトレーナー。 1972年埼玉県浦和市(現さいたま市)生まれ。 東京都渋谷区・新宿区のパーソナルジムで、ぽっこりお腹に悩む女性のお腹痩せ成功をサポートしている。食事制限をしない、無理なくお腹瘦せできる独自のメソッドを提唱。 これまでぽっこりお腹に悩んでいた女性の腹囲を、2ヶ月で平均−5.6㎝のお腹痩せ成功に導く。 パーソナルトレーニング指導歴23年。