医薬部外品と化粧品はどう違う?きちんと理解して自分の肌に合う化粧品を見つけよう
化粧品のパッケージに書かれた「医薬部外品」や「薬用」の文字。“薬”という文字から「すごく効果がありそう!」と感じる人も多いのではないでしょうか?
しかし、医薬部外品をきちんと理解しておかないと、思わぬ肌トラブルを招く可能性があります。医薬部外品と化粧品の違いを知っておきましょう。
- 2019-04-11
- 森本悠希
医薬品・医薬部外品・化粧品の違いを理解しよう
医薬部外品(薬用)と化粧品の違いを正しく理解していますか?口コミサイトなどをチェックすると、「医薬部外品だから、肌にやさしい」、「薬用は肌荒れしない」というコメントを見かけることがあります。
ですが、ちょっと待って!実は、医薬部外品(薬用)は肌にやさしいとは限らないのです。また、医薬部外品(薬用)だから「肌に劇的な効果がある」わけでもありません。
まず、医薬品・医薬部外品・化粧品がどんなアイテムを指すのかをチェックしておきましょう。それぞれの役割を知らずに使用すると、不要な肌トラブルを招きかねません。
医薬機器等法(旧:薬機法)で区別されています。違いを正しく理解して、適切なアイテム選びをしてくださいね。
医薬品とは
いわゆる「薬」に該当する医薬品は、治療や予防に効果がある「有効成分」が配合されたアイテムです。大きく2つに分類できます。
- 医療用医薬品:医師が診察して、処方する。処方箋が必要
- 一般用医薬品:医師の処方を必要とせず、ドラッグストアや薬局などで購入できる
スキンケア用の薬というと、ピンとこない人もいるかもしれません。たとえば、肌の水分保持力を回復して、乾燥あれ肌を治療する「Saiki(小林製薬)」、皮脂をつくる力を回復して乾燥肌を治療する「ヒシモア(小林製薬)」などが該当します。
他にも、「ニキビの治療薬」も医薬品です。
処方箋不要の一般医薬品のほうが、医療用医薬品よりも効果は穏やかです。ただし、一般医薬品でも、医薬部外品や化粧品より肌に働きかける力が強く、効果が高くなります。そのため、自己判断で長期間使用するのは絶対に避けましょう。
一般医薬品の使用上の注意書きにも、「○○日程度使用しても、症状が良くならない場合は、医療機関を受診してください」といった一文が必ず記載されています。
医薬品を長期使用する場合は、かならず医師の指導のもと使うようにしましょう。
医薬部外品(薬用)とは
医薬部外品は、乾燥、肌荒れ、シミ、ニキビなどの肌トラブルを「防ぐ」ことを目的とする有効成分が「規定量配合されている」と厚生労働省が認可したアイテムです。
肌の一番上にある表皮だけでなく、肌の奥まで働きかけて、人体に何らかの作用をもたらします。配合された有効成分に関する「効果・効能」を宣伝できます。効果・効能の一例は次の通りです。
- メラニンの生成を抑え、シミやソバカスを防ぐ:プラセンタエキス、4MSK、ビタミンC誘導体、カモミラETなど
- しわを改善:レチノール、ナイアシンアミド、ニールワン
- 皮膚にうるおいを与える。皮膚をすこやかに保つ:ライスパワーNo.11、γ-オリザノールなど
- 荒れ性、肌荒れ:グリチルリチン酸、酢酸トコフェロールなど
- ニキビを防ぐ:グリチルリチン酸、イソプロピルメチルフェノール、サリチル酸など
あくまで予防が役割であり、医薬品のような効果はありません。そのため、広告や商品パッケージでは治療に関する文言の記載は認めらておらず、「○○が治る」、「○○が消える」などの表記はNGです。
医薬部外品なのに「治る」などの広告がされている場合は、医薬機器等法違反になります。
したがって、広告などで「○○が治る」、「シミが消える」などの表現がある商品は、「なんだか怪しいぞ」と考えるほうが無難です。買ったけれど全然効果なし、損をしたとならないようにしたいですね。
医薬部外品の全成分表示では、有効成分が必ず表示されています。どんな肌トラブルに有用なのかをチェックするようにしましょう。ちなみに、有効成分以外の成分は、順不同で記載されます。
化粧品とは
化粧品は人体に対する作用が穏やかなアイテムで、目に見える肌の部分である表皮の一番上「角質層」までしか、成分が浸透しません。
化粧品が広告や商品パッケージに記載できる効果の範囲は、「肌を整える」、「肌のキメを整える」、「肌をひきしめる」、「皮膚にうるおいを与える」、「乾燥を防ぐ」、「日焼けを防ぐ」などです。
「○○を改善する」などの記載はできません。また、有効成分という言葉を用いるのもNG。
化粧品は、治療ではなく美容を目的としたアイテムで、保湿などによって肌を美しく整えるのが役割です。
化粧品より医薬部外品のほうが効果がある?
医薬部外品や薬用のように「薬」という文字が入ると、化粧品よりも肌に効果がありそうに感じますよね。
たしかに、医薬部外品は有効成分を含み、メーカーなどが肌に対する効果の実験データなどを積み重ねて、最終的に厚生労働省に認可されています。したがって、ある一定の効果に対しては化粧品より効果があると言えるでしょう。
しかし、最も大切なのは、自分の肌に合うかどうか、肌が美しくなったと実感できるかどうかなのではないでしょうか。また、使用感や好みの香りかどうかも商品選びには大切なポイントになります。
「医薬部外品だから良い」という選び方をするのではなく、総合的な判断に基づいて自分にぴったりの商品を購入するようにしたいですね。
医薬部外品は肌に優しい?
医薬部外品は肌にやさしそう、敏感肌でも使いやすそうというイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。
確かに、抗炎症作用がある有効成分が配合されたアイテムは、肌荒れを防いで肌の調子を底上げしてくれます。
しかし、有効成分の中には刺激が強い成分も存在します。ニキビ予防に配合される殺菌作用がある成分は、肌に必要な皮膚常在菌を減らして、肌のバランスを崩して肌荒れにつながる可能性があります。
また、美白有効成分は刺激が強い成分が多く、肌がデリケートなときにはピリピリすることも。
さらに、肌の生まれ変わりのサイクルであるターンオーバーが早まり過ぎて、肌の細胞が未熟なまま角質層を形成。紫外線や乾燥、花粉、ウイルスなど外的刺激から肌を守るバリア機能が低下して、敏感肌になることも考えられます。
もちろん、すべての医薬部外品がそうなるわけではありません。研究や実験など安全性に関するデータに基づいた商品開発が行われているからです。
自分の肌状態の変化などを日々観察して、肌に適したアイテム選びをしてくださいね。
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教育、出版業界を経てフリーライターに。スタンダードな美容法からマニアックな健康法まで、情報収集・実践するのがライフワーク。キレイ&健康でありたいと願う女性をサポートできる情報を発信していきます。