前回、日本でも健康な食事法の1つとなっている「グルテンフリー」に関してお話ししましたが、今回は、「グルテンフリー」を食事療法として摂りいれることによっておこるメリット、デメリットや摂りいれ方についてお話しします。
■「グルテンフリー」のメリット
「グルテンフリー」を食事療法として摂りいれることによって、メリットになるのは、主に下記になります。
〇アレルギーを引き起こす可能性がなくなる
〇腸内環境の低下が起こる可能性が減少する
〇血糖値があがりにくくする
〇糖化の原因を防ぐ
〇食欲促進物質の摂取が減少する
〇身体が炎症を引き起こしにくくする
上記の理由から、グルテンフリーを食事療法として摂りいれる方が多くなっています。
〇アレルギーを引き起こす可能性がなくなる
元々「グルテンフリー」が食事療法になったのは、「グルテン」に対してのアレルギーがある方、「セリアック症候群」というアレルギーを持っている人がいるということではじまりました。
「セリアック症候群」は、小麦、大麦、ライムギなどに含まれるタンパク質「グルテン」に対する免疫反応が引き金になって起こる自己免疫疾患のひとつです。
「セリアック症候群」の人がグルテンを含む食べ物を摂取すると、人の消化酵素では分解できないことで、免疫反応が起こり、体内で炎症を起こしてしまいます。
それによって、栄養を取り込む役割を果たしている腸が萎縮し、食事を摂っていても栄養失調になってしまうのです。腸内環境の低下もこれによって起こります。
またニキビなどの肌荒れ、口内炎、生理不順や重いPMS、不妊症など身体に起こる炎症などにも関係するとも言われています。
〇血糖値があがりにくくする
最近、日本でも多くの方が、摂りいれている「糖質制限」や「糖質カット」ですが、「グルテンフリー」が流行っているのには、これと同じ理由があります。「糖質制限」は、糖質を摂取すると、急激に血糖値があがり、急上昇は、「太れ」という指令を与えてしまうことから、「糖質」を制限する、健康、食事療法です。
それと同じことが「グルテンフリー」にも当てはまります。とくに小麦に含まれる「アミロペクチンA」は、「スーパー糖質」とも呼ばれていて、血糖値を急激に上昇させてしまいます。
小麦を大量に摂取することで「太りやすい体質」にしてしまうのです。
また、「糖質」にはお肌のエイジングケアとしても注目されている、老化の原因「糖化」も促進されてしまいます。血糖値が上昇することによって「太る」「老化」の可能性が増えてしまうのです。
〇食欲促進物質の摂取が減少する
小麦のグルテンは、脳に快感を与え、強い依存性があり、食欲増進を促してしまいます。
麻薬のように、食べれば食べるほど、食欲は増して、摂取カロリーも増えてしまいます。このスパイラルから抜け出るのは至難の業かもしれません。
■「グルテンフリー」のデメリット
デメリットということではないかもしれませんが、「グルテン」を含む食べ物は下記になります。
〇「グルテン」を含む食べ物
パン、うどん、パスタ、シリアル、ラーメン、ピザ、パンケーキ、ドーナツ、ケーキ、揚げ物の衣、スナック菓子、ビール
「グルテン」を含む食べ物を見ると、ランチや外食の際に、小麦使用を控えているメニューを見つけることは意外と大変なことがわかります。自炊でないとお店で「グルテンフリー」を行うのが、少し難しいですね。
■日常で「グルテンフリー」を行うには
健康、食事療法として流行っていますが、日本人はアメリア人と比べると、それほど小麦を取り入れる食習慣ではないので、本来の和食を中心とした食生活を心がけていれば「グルテンフリー」は必要ないはずです。
しかし、ここ数年で欧米の食文化が日本でも多くなり、菓子パンやインスタント食品、スイーツなどの小麦で出来た食品が多く出回り、気軽に買えるようになった事で、必要以上にグルテンを食べ過ぎてしまっている人が増えてきていることが原因ではないでしょうか?
また、現在の小麦は、大部分が海外からの輸入品です。
食べ物は挽いた瞬間から酸化が始まるため、時間が経っているので酸化している小麦も多く、さらに農薬も多い小麦ばかりで良質な小麦が少ないことも現状です。
しかし、小麦類には、ビタミンB群や、鉄分などのミネラル、食物繊維が豊富に含まれているため、流行りだけで、極端に「グルテンフリー」を摂りいれると、必要な栄養素が十分に摂取できなくなり、栄養の偏りがでてくる可能性もあります。
ですので、アレルギーではない限り100%「グルテンフリー」という食事ではなく、適度にゆるく長く続けていくことで、ストレスを感じずに過ごせるのではないでしょうか?
食べたいときには美味しくいただくことも大切です。自分の体調や生活にあった方法で、健康や美容を維持していきましょう。
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美容薬学検定1級/ホリスティックビューティーアドバイザー 大手化粧品メーカー、美容皮膚科など美容業界での様々な経験やノウハウを活かし、化粧品・健康食品・美容機器の企画開発やコラム執筆/美容に関するコンサルティング/PR業務/などを行っています。